山口 恵以子著 月下上海 (読後感想)

病院の診察の待合で時間がかかることが分かっていたので 先日届いた 山口 恵以子著 月下上海 を持って行った ところ 面白くて一気に読み上げました。

一気に読み上げるだけのワクワク感があり、テンポが速くて非常に面白い。ただ、難を言えば結末に一発大逆転みたいなところがなく綺麗にまとまり過ぎて余韻が残りません。伏線に男女間のもつれも出てくるのですがこのあたりも 今一つ 人物描写にリアリティさを欠くかなあ。
まあ、才色兼備で財閥のお嬢さんで絵の才能があるという主人公の多江子さん自体がリアリティに欠けた出木杉くんだから? でも かっこいいよ〜 多江子さん。
筆者は一度も上海に行ったことがなかったそうですが、第二次世界大戦前後の上海の街をリアルな描写で表現しています。読んでいて ルース・ベネディクト の「菊と刀」を思い出しました。